愛する人が亡くなるまでの家族の心境やそのときの様子を描写しています。C型肝炎発病-肝硬変-闘病生活-死-葬儀までの実録です。

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退院

退院は母の希望で当初の予定よりも数日早めになりました。手術が終わってから5日目の2006年9月の中旬でした。

主治医や私たち家族はもう少しゆっくりと入院していた方が術後の経過の為には良いと母に話しましたが、『1日も早く退院したいんだよ、早く帰りたい・・』と強く希望したので、無理やり退院させてもらいました。いつもはめったにそんなことを言わないのですが。

しかしこの数日早まった退院が、あとあと母の体にこれほど影響を及ぼすとは、このとき誰も想像していませんでした。

退院してからの母は、やや体調が悪そうで、いつもは徐々にもとの生活に戻るのですが、今回はなかなか調子が戻りませんでした。
足が少しむくみ始め、お腹も少しはりが出てきたみたいでした。母はそれでも『手術から間もないからねえ』ということで、様子をみていました。

また、いままでにない異常なことが母の体の中で起こり始めたのもこのころです。
それは記憶が一時的になくなったり、分けのわからないことを話したりすること(*1)が何度も起こったのです。
例えば自宅のトイレがどこにあるのかわからなくなったり、たった今したことがわからなくなったりとか。

それから様子は悪くなる一方で、足は何倍にもむくみ、歩くことさえ辛くなってきました。9月のある日曜日に、私と父と母は自宅のリビングで母が横になれるようにと、大きめなソファーを近くの家具屋さんに買いに行きました。いくつも見てまわり母が気に入った白いソファーを購入し、1週間後に配送される予定でした。母も早くソファーが早く来るのを待ちわびていました。

しかし残念ながら母は、そのソファーに一度も座ることも横たわることもできませんでした。

(*1)
記憶が一時的になくなったり、訳がわからないことを話したりすること・・・
肝性脳症。肝機能の低下により、本来肝臓で分解され無害となるアンモニアが、肝臓で分解する力がなくなり、肝臓を通らないルートの血管を通って脳へいくこと。
現象としては頭がもうろうとしたり、訳がわからないことを話したり、意識障害をおこします。
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01 序章 02 慢性C型肝炎とのつきあい
03 いつものこと 04 一度目の入院
05 退院 06 二度目の入院 - 闘病のはじまり -
07 病院からの呼び出し 08 余命宣告
09 最期の日 10 病院を出るまで
11 葬儀打ち合わせ 12 通夜
13 葬儀・初七日 14 火葬
15 葬儀後 16 49日・納骨
17 まとめ
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