私の祖母は毎日朝夕に仏壇にお線香をあげてご先祖様と話をするのが日課でした。
一番先に入れたお茶は仏様にあげて、炊き上がったご飯もまずお仏壇にあげていました。
お線香をお供えする事で仏様と会話するといつも言っておりました。
お線香は仏様の食事といわれます。
煙は仏様に伝わりお供えしようとするもてなしの心を召し上げると考えられています。
お線香をあげる事で良い香りで気持ちを落ち着けて仏様と向き合い心の会話をする事に意味があります。
お線香についてまとめてみました。
聖徳太子の時代、推古天皇3年(595年)に淡路島に香木「沈香」が漂着したのがはじまりとされています。
その後、各種の香木が中国から入ってきましたが、聖武天皇の時代、
東大寺正倉院に納められた天下一の名香として有名な香木「蘭奢待」(らんじゃたい)もそのひとつです。
足利義政、織田信長、明治天皇などがその一部の切り取りを許可されたといわれています。
また、現在のような棒状の線香の形になったのは江戸時代の初め頃からだそうです。
日本でお線香の産地といえば、堺が有名です。
一時は国内のシェアの6割を占めていました。
また、他の産地では京都・大阪・淡路・日光があげられます。
日光では杉を利用した杉線香が作られ、杉線香の生産では日本一です。
それぞれの産地独自の特色が生かされています。
1.椨(たぶ)などの木を微細な粉末にして十分に撹拌する。
2.銘柄ごとに香料を加え、練玉(出来上がった粘土状のもの)専用の押し出し器で押し出し、
一定の太さの棒状に成型する。
3.乾燥用の板で乾燥させる。
4.一定の長さに切り揃え、さらに一週間から十日ほど乾燥させて箱に詰めて出来上がる。
作り方など、基本的な事は全く同じです。
お線香は仏事に用いられますが、お香は香を楽しむ為のものであるところが最大の相違点です。
最近はお線香にもコーヒーやラベンダーなど香りを楽しむものも多く販売されています。
それぞれのお好みによってお線香をお香として利用されるものいいでしょう。
最近はお土産に有名なお寺のお線香をいただく事が多くなりました。
お寺によってさまざまな香りがあり、いいお土産をいただいたと喜んでいます。
若い世代は多忙だったり、高齢でお墓参りに行く事が中々出来ない方も増えているようです。
お墓参り代行サービスの需要が増えているというのが現実ですが、
仏壇の前でお線香をあげ、好きな香りを楽しみ、
ゆっくり仏様と会話する時間をもてるような心の余裕を持ちたいものです。